ベラット 夕方の風景 |
今日は、アルバニアにあるベラットという世界遺産の街へ1泊旅行へ。
首都ティラナの宿で朝食を食べて一度チェックアウトし、明日また同じ宿に戻って来るので、1泊分だけの荷物を小さくまとめ、スーツケースを預かってもらうことに。
バス停、そしてバスの時間が存在しないというアルバニア。
宿のおじさんに「ベラットへ行きたいのだけど…」と聞くと、ここからバスにのれるはず。と地図に印をつけてくれました。
かんかん照りの刺すような暑さの中、子連れで歩くにはちょっと遠い距離のようだったので、宿前からタクシーに乗車。
「ベラット行きのバスが出てるところまで」とお願いすると、「バス?ミニバス?どっち?」と聞いてきます。
バスだと400Lekで3時間、ミニバスだと500Lekで2時間ほど、料金はバスのほうが多少安いが時間がかかる。
というので、時と場合によっては「スピード」を優先したほうがいい子連れ旅。そして、一泊二日と時間も限られているので、現地に早く到着できそうなミニバンに乗ることにし、その乗り場まで連れて行ってもらうことにしました。
タクシーは街中を抜け、市場などがある通りの反対側にある『えっ、ここ??』というような空き地、むしろ工事現場みたいな場所の前で降ろされました。
運転手さんは親切にもベラット行きのミニバスを探してくれて、「あれに乗れ!」と言われたままバンに乗り込むと、車内にはすでに数人が座っており、我が家の他にあと2−3人乗車すれば満席で出発というところでした。
バンの客引きのおじさんは、「ベラット、ベラット〜!」と叫ぶと一人、また叫ぶと二人、と15分くらいで全座席の9席が埋まって発車しました。
出発時刻は、9時15分くらい。
バンは猛スピードでティラナ市内を抜け、どうやら海沿いの街Durres方面へ向かっているようです。その後、Durres市内に入る手前で道を折れると南へと向かい始めます。
この頃から道路が詰まり始めました。道路の状態も悪くなり始め、自然渋滞なのかと。
バンの中は、もちろんエアコンなんて効いておらず、窓全開。わがやは一番後ろの席に三人並んで座っているため、窓を開けていてもその恩恵に全く預かれていません。おまけに渋滞なので、風が全く入ってこない…。
灼熱地獄の中、『あぁ暑い…。このままいたら熱射病になるんじゃないだろうか…』と思い始めた頃、やっと渋滞を抜け、出発から約2時間半でBeratの街の中に入ってきました。
バンの中で伝言ゲームのように前の人から「どこで降りるんだ?」というようなことを聞かれたので、取りあえず、宿の住所をメモした紙切れを見せながら、住所を呪文のように何度も唱えてみました。
すると、また伝言ゲームで前の方に「X&%#¥+」と戻っていき、しばらくすると「ここで降りろ」と、どこだか全くわからないところで車が停車し、家族3人降ろされました。
降りる間際に念押しで、また宿の住所を唱えたら、「そうだ」とうなずくので、宿近くなのは間違いないのでしょう。
しかし、詳細な地図も持ってなければ、今どこにいるのかすらもわかりません。
どうしたものか、と途方に暮れながら、近くにいる人にまた宿の住所を見せてみます。
すると「あっちだ」と通りを指差します。その人の言葉を信じて言われるがまま歩いて行ってみると、ありました!!
宿のある通りが。
ところが、丘の方に向かって石畳の坂を歩いていくと、また道に迷います。またその辺にいる人を捕まえて、今度は宿の名前を言って場所を聞くと、もと来た道の方を指差します。どうやら、ちょっと行き過ぎていた模様。
そんなこんなで、やっとこ宿を探し当て、大きな木のドアを開けて中に入ってみると、掃除機の音はしますが、呼んでも誰も出てきません…。
時計を見ると、もう12時過ぎ。いずれにしても、チェックインの2時まではまだちょっと早いので、生乾きだった洗濯物だけ、軒下の洗濯ロープの端に干させてもらい、幸い荷物も少ないので、荷物は持ったままランチを食べに行くことにしました。
さっき登ってきたばかりの坂を下ると、ツーリストインフォメーションらしきところがあったので、ダディが街の地図をもらいに入ります。
ついでにランチのおいしいレストランも聞いておいてくれました。
グッドジョブ!
改めて地図を見てみると、宿は街の中心部にあるとても便利なところのようです。
ベラットの街を二分する川にかかる橋を渡り、対岸にある聞いてきたばかりのおすすめのレストランに入ります。
ホテルに併設されたとても品のいいレストランで、他にも宿泊客らしき人たちが食事をしていました。
渡されたメニューから、ウェイターさんオススメのムサカとサラダをチョイス。ホテル・ムサカっていうだけあって、ムサカがお店のシグネーチャーメニューなんでしょうね。
これでも半分食べた後のムサカ |
一番上のレイヤー部分が、ものすごくふわふわ♡そして優しい味。
美味しすぎて、もう一つ頼もうと思いましたが、結構ボリュームたっぷりで断念。
ちなみに、ホテル・ムサカは、ベラット市内では最高級ランク。
ですが、アルバニア価格なので、ツイン/ダブルでも50ポンドほどかと。
丘の斜面には、オスマン帝国時代に建てられた細長い窓がある白い建物がたくさん並び、丘の頂上にはベラット城の城壁が見えます。
写真では伝えきれませんが、これがあの「千の窓」と呼ばれる素晴らしい景色です。
お腹がいっぱいになったところで、チェックイン時間の2時少し前になったので宿に戻ることにしました。
いずれにしても日中は暑過ぎ…。
大きな木のドアをまた開けると、風情溢れる白い建物の中から明るく陽気な宿のオーナーが出てきました。
英語がほとんど通じず、何故かイタリア語がペラペラの宿のおばちゃんです。
娘を見てベッドがどうのこうの言っていますが、イタリア語なのでイマイチよくわかりません。
ママが、必死に知ってるイタリア語の単語を拾い聞きして、話を推測してみたところ、どうやら娘のためにベビーベッドを用意してくれる??ということを伝えたいらしいのですが、やたらと『ピッコロ(小さい)』という言葉を連発しています。
一体何が小さいんだろうか?
娘?
ベッド?
部屋?
『はて、なんのこっちゃ???』と困っていたら、たまたま側にいた宿泊客のイギリス人女性がイタリア語を話せたので、助け舟を出してくれました。
どうやら娘に「娘にはちょっと小さいかもしれないけど、ベビーベッドを用意してくれる。」ということでした。
古い建物を改装した部屋は、まるで誰かのお部屋に通されたようなインテリアで、とてもアットホームな雰囲気でした。本やら古い腕時計などが無造作に飾られていて面白かったです。
ちなみに、この30代前半くらいのイギリス人女性は、お母さんと一緒にアルバニアを母子で旅行中。
おそらく60代全半とお見受けするお母さんが「明日は私がレンタカーを運転するのよ」と、とてもハリきっていました。やるなぁ、お母さん!子どもが大きくなってからの母子での「子連れ旅」もなかなかいいもんですね。わが家にもいつかそういう日が来るのかな…。
少し涼しくなるまで、軽く洗濯をしたりして部屋の中で過ごすことにしました。部屋のテラスには、ブドウの木が茂り、その下にベンチがあったので、木陰でお茶を飲みながらのんびり過ごしました。
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日光もちょっと和らぎ始めた午後4時頃、城壁のある丘の頂上まで散歩することにしました。
徒歩10分程度だというその道のりは、長年の月日を経てつるつるになった白い石畳が続きます。
つるんと滑らないように気をつけながら、たわわに実ったぶどうや民家を覗いたりしながらお城を目指して坂を登ります。
なぜか今、階段を昇るのが大好きな娘。
娘は、丘の斜面沿いに積まれた階段状のブロックをずっと登って行ってくれたので、抱っこをせがまれず助かった。。。
表面がつるんつるんの石畳。気をつけないと滑ります。 |
頂上まで続くこの階段状の壁 |
たわわに実るブドウ |
丘のてっぺん付近には大きな城壁があり、その中には小さな集落がありました。
その城壁に囲まれた集落には、現在でも地元の人が住んでいて、民家の他にレストランや小さな食料品商店などがあります。
露天に並べられたお土産屋さんを見たりしながら、Onufri博物館の方へ。
Onufri博物館のある1797年に建てられた教会の中に入ります。
教会の内部は全体的にとても保存状態がよく、博物館によくある立ち入り禁止のロープや展示の説明などがないありのままの姿なので、まるで16世紀から時が止まっているような不思議な感覚になりました。
城壁入り口 |
城壁内にも集落があり、現在も地元の人が生活しています。 |
お土産やさん |
フォークロアなハンドメイド刺繍のテーブルクロスや衣類 |
教会内部。素晴らしい彫刻と壁画 |
Onufri博物館入り口 |
薄暗いからか、それとも古いせいか?
おそらく両方だと思いますが、めちゃくちゃ怖がりの娘は、こういう場所が大の苦手。コワイから「早く出たい」とうるさいので、ママとダディは交代で中を見ることにしました。
で、娘とママが外に座って日本語で話していたら、日本人の男の子が『日本人ですか?!珍しいですね、こんな場所に…』と話しかけてきたので、お互いあいさつをしました。
まぁ確かに、子連れでアルバニアまで来る人は、あまりいないかもしれませんね…。
ここの博物館には、16世紀に活躍したアルバニア人の画家Onufriの作品が展示されているのですが、こちらもどれも保存状態がよく、どれも最近描いたのではないかというくらい色が鮮やかでした。
丘の上からベラットの街を見下ろします |
博物館を出て路地を歩いていたら、どこからか『マダァ〜〜ム』という声がします。
声のする方を見てみたら、頭上にある窓からおばあさんが「おいで、おいで!」と手招きしているのが見えました。
「コーヒーを飲んでいかないかい?」というようなことを言っています。
ダディと「行ってみる?」と、おばあさんの指差す方へ行ってみると、壁に大きく手書きで「カフェ」と書いてあったので、半信半疑ながら入ってみることにしました。
おばあさんがドアから出てきて「こっちだよ」とお家の中へ入ります。ドアを入ると右手にキッチンがあり、その隣の小部屋に入るとおばあさんの家のテラスに出ました。
何てことない自宅のテラスでしたが、とっても素晴らしい眺め!
『素晴らしい眺めだね〜』と景色を眺めていると、おばあさんがテラスにある椅子に座るようすすめてくれ、部屋の中に戻りスイカを持ってきてくれました。
訳がわからないまま、とりあえず出されたスイカを食べながら、なおも素晴らしい景色を見ていると、今度は、おばあさんの手作りだという自家製ジャムを小皿に少しとコーヒーを持ってきてくれます。
おばあさんも一緒に座って、単語を並べながら身振り手振りで会話を試みます。
が、少ないボキャブラリーだけで会話がそんなに続くハズもなく…。
しばらくすると、おばあさんは部屋の中に何かをしに入ってしまいました。
わが家は素晴らしい景色を眺めながら、おばあさんの淹れてくれたコーヒーを飲んでいでいると、今度は、イタリア人のカップルが、我が家と同じように、やはり半信半疑でバルコニーにやってきました。
おばあさんが、彼らの3コースのコーヒーを用意している間、このカップルとしばし談笑。
彼らは、イタリアから車で船でアルバニアに渡ってきたそう。地図を見ると、海を挟むもののイタリアとアルバニアは距離的にもの凄く近いんですよね。なるほど、イタリア語を解するアルバニア人が多いのも納得です。
カフェのおばあさんも、英語よりイタリア語の方が理解できてそうでした。
ちなみに、このカップルもおばあさんの謎の自宅カフェに騙されやしないかと半信半疑でやってきましたが、子連れのわが家がいるのを見て安心した模様です。
確かに、普通のカフェのようなきちんとしたメニューのある店構えではないので、最後に法外な値段を請求されたらどうしよう?というハプニングを考えなくもありませんが、今回はダディの危険察知レーダーが反応しないので大丈夫でしょう。
実際、そろそろ行こうかと、おばあちゃんに「おいくらですか」と聞いたら「2ユーロ」だと。
多分言い値でしょうが、スイカ、ジャム、コーヒーを飲んで、三人で2ユーロです。そうだ、娘はジュース飲んだわ。
思いがけなくおばあちゃんの自宅カフェでのんびりしたあとは、もと来たツルツルの坂を下り、今度は夕食を食べに行くことにしました。
日が陰り始めたベラットの坂道をどんどん下って行くと、反対側から3人の観光客らしき人たちがやってきます。どこか見覚えのある女の子…。
「ハッロォ〜!!また会ったね!!」
数日前にブドバからティラナへ来るバンで一緒だったアメリカ人の歯科医の女の子でした。
彼女は今日ベラットに到着したらしく、ここに何泊かした後、もっと南の方へ行ってみるとのことでした。ちなみに、ティラナからは400Lekのバスで来たそうで、エアコンが効いた大型の観光バスで、とても快適だったそうな…。
明日はバスでティラナへ戻ろう…。
また橋を渡って川を超え、お昼を食べたホテル近くの川沿いにテラス席がある、千の窓の風景が良く見える眺めの良さそうなレストランがあったので、そこに入ることにしました。
わが家がテーブルに着いた夜7時頃は、まだ外も明るく人もまばらだったので、窓際の眺めのいいテーブルに座ることができました。
そのうち日が暮れるにしたがって、どんどんお客さんが増え始めましたが、食事をしている人はほとんど見かけず、食事しているのは明らかに外国人観光客という感じです。
お客さんの大多数は、スカーフをかぶったイスラム系の人達で、男性はほぼコーヒーを飲み、女性と子供は、パフェやアイスクリームを食べていました。
夕食を食べている間に日がどんどん落ち始め、食事が終わった8時過ぎ頃にやっとあたりが暗くなり始めました。
その頃までには、お店は大盛況。来た時はガラガラだった店内も出るときには満席となっていました。
ふと気がつくと、さっきおばあちゃんの自宅カフェで会ったイタリア人カップルがやってきたので軽く手を上げてあしさつしました。
お互いの旅の無事を祈って一言声をかけてレストランを後にしました。
日が落ちた夜のベラットは、丘の斜面にある千の窓に灯がともり、昼間とはまた違った風情がありました。日も沈みだいぶ涼しくなったので、もっとゆっくり夜景を楽しみたいところでしたが、残念ながら子連れの旅ではそうも言ってられません…。
10分弱ほど歩いて宿に戻った時には、すでに夜の9時近くなっていました。
4歳の娘にとっては、ちょっと夜更かしの日でした。
***子連れ旅情報***
アルバニア/ベラット
街の子連れに優しい度 ★★★
石畳の上をバギーで丘の上へ行くのは大変そう。ただ登りきってしまえば、路地裏散策などが楽しめます。ベラットには特に子ども向け施設はないけれど、小さい街ながら博物館やアートギャラリーなどもあるので、1日色々と楽しめます。
バス料金:子どもは無料。(子ども料金の年齢は未確認)
子連れアクティビティ充実度:★★
特に子ども向けにアレンジされた施設やアクティビティはありませんが、自然を満喫できます。
子連れ食べ物充実度:★★★
ギリシャ、トルコ系の食べ物、イタリアンが充実しています。
赤ちゃん用品の充実度(手に入れやすさ):★
※未確認ですが、オムツなど探すのが大変かも?なるべく持参したほうが良さそう。
宿泊:
Kodiket Inn
宿の子連れに優しい度★★★
英語よりもイタリア語がよく通じるオーナーを始め、皆んな面倒見が良く親切、とっても家庭的な宿。17世紀の建物を改装した施設は、特にチャイルドフレンドリーではありませんが、リクエストすれば、ベビーコットの用意をしてくれます。
朝食(たっぷり)付きで、お値段はかなりお手頃。わが家がステイしたのは小さい方の部屋でしたが、ちょっとアップグレードして大きい部屋に泊まることを是非おススめします(ちらっと覗いて見たら、天井が高くとっても素敵な部屋でした)。
WIFIもバッチリ繋がります。
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