クロアチアのお隣にある国、ボスニアヘルチェコビナの首都サラエボの朝は、どこからともなく大音量で聞こえてくるイスラム教のアザーンで目が覚めます。
今回宿泊しているサラエボの宿、Hostel Vagabondは、街の中心にある目抜き通り沿いにあるのでとても便利な場所ですが、深夜までオープンエアーのバーから聞こえてくる音楽や通りを歩く酔っぱらい達の声がうるさくよく眠れませんでした。
耳栓持ってくれば良かったなぁ。
今朝は、かろうじて雨はやんでるようだけど曇天の空。よ〜く目を凝らして窓の外を見たら、霧のような雨が降っていました。
娘にはレインコート、私はウインドブレーカー、旦那はオスロで買った高級折り畳み傘(大活躍!)、の出で立ちで朝食を食べに外に出ます。
観光客が多いエリアなので、スタバのようなカフェで朝食が簡単に食べられるかと思いきや、探し方が悪いのか、これがなかなか見つからず。。。
霧雨の降る中しばらく歩き回ったけど「屋内で、座れて、飲み物とパン」最低限これだけあればいいのに、そのお店が全然見つからない。路地裏に「ブレックファースト」と書いた看板があるカフェを見つけたので行ってみたら、お店を今開けたばかりのようで、ブレックファーストを食べに来るお客さんは、普段からあまりいない感じ…。
サンドイッチと飲み物を頼んだけど、カフェというよりはケーキなどを置いているティールームといった感じでした。サラエボで朝食なしの宿に泊まっている人たちは、みんなどこで朝ご飯を食べているのだろう…。
1)ぶらっと旧市街を歩く
緑の濃い山に囲まれたサラエボの街は本当に美しい!街の中央には川が流れ、ヨーロッパ街とトルコ街との分岐点を一歩超えると、東側にはトルコの町並み(まだ行ったことないけど)を思わせるような古い石畳が続いていてトルコのバザールのようなお土産物屋が並ぶマーケットがあったり、トルコレストランで見かけるような食べ物屋さんやトルコ風なカフェ、お土産や工芸品を売るお店が所狭しと並んでいます。
気をつけて見ていると、街中にある建物の壁には、無数の砲弾の跡があるのに気がつきます。
路地を歩きながら、一生懸命はるか昔の記憶の糸をたぐり寄せてみます。
84年にサラエボ冬期オリンピックがあった頃は、まだ子どもで日本から黒岩彰というスピードスケートの選手が出場していて、当時、みんなでパーカーの帽子をすっぽりとかぶり、あごの下で紐をギュっとしめてスピードスケートのポーズをし、黒岩選手の真似をするギャグが流行っていた…。
というくだらないことしか思い出せないママ。
ボスニアヘルチェコビナの紛争でサラエヴォが包囲されたのは、そのしばらく後の92年から95年だから、戦後のヨーロッパで最悪の紛争が起きたのは、まだまだつい最近に起こったこと。そんな最近まで紛争が起きていた、という事実に改めて驚きました。
2)鳩の広場でボスニアンコーヒーを飲む
雨脚がだんだんと強くなってきたところで、鳩の広場にあるカフェで雨宿り。カフェでは、ボスニアンコーヒーを頼んでみました。
やっぱりボスニアンコーヒーもセルビアンコーヒーと同様、トルコ式の底に泥がたまるコーヒーです。
鳩の広場から、丘の方に行ってみようと坂を上る。坂の両脇には銀製品の工房が並んでいて、職人さんがカンカンカンと銀細工をたたいて成形する音があちこちから聞こえてきました。
工房のあるあたりを超えて緩やかな坂をさらに上って行くと、紛争で亡くなった人々の白い墓石が並ぶ墓地につきました。
とてつもない数の墓標を背にもときた道を引き返します。
街のいたるところにその居た堪れない出来事の爪痕が残るサラエボ…。
そろそろお昼の時間。
ふと気がつくと、ベオグラードで買った娘のふくろうさんがいない。歩いている間にどこかへ落としたらしい…。
鳩の広場のカフェにいた時はふくろうさんがいたので、その後どこかで落としたはず?
この小雨の中、またみんなできた道を戻って探しに行くのはさすがに面倒なので、まずはママが歩いてきた道を捜索。
ランチの時間があまり遅くなると、今度は娘が夜ご飯を食べられなくなるので、私と娘は先にカフェが並ぶ通りのどこかでお昼を食べるところを探しにいき、今度はダディが白い墓標がある丘へと行く道を戻って、娘のふくろうさんを探しに行くハメに…。
3)旧市街でチェヴァプチを食べる
娘と旧市街の石畳が続くカフェのある通りをきょろきょろしながら歩いていると、お客さんが入れ替わり立ち替わり出入りする、客足の回転が一際速いお店を発見。
しばらく観察していたら、頼んでいる物はみんな同じで本数が違うだけの様子。。。
旧市街にあるCevabdzinica Zeljoというお店 |
長細いソーセージのようなものは、どうやら「チェヴァプチ」というらしい。
お客さんはみんな揃いも揃って同じものを食べていて、そしてメニューには、なんて書いてあるのか読めないけれど、みんなが頼んでいるこのお肉たっぷりソーセージのようなものだけで、単純に本数違いだけのようです。
見た目に活気があり、お客さんでいっぱいのお店!ということで入ったら、これが大当たり。
娘と一緒にシェアして食べようと10本頼みましたが、娘が半分以上食べてしまい15本にすれば良かったとものすごく後悔。
写真にあるクリームのようなものは付いてこなかったので、あれはオプションで頼まなければいけなかった模様。
やや遅れてきた旦那、抜け目なく隣の人のクリームを指差して、これもつけてね!と、しかも15本注文してました…。
味つけが濃い目のところが多い中、塩加減もいい感じで、めちゃくちゃ美味しかった♥
ちなみに、肝心のふくろうさんはやはり見つからなからず、娘に代わりを買ってあげると約束してしまった旦那…。むむむ。
その後、22年ぶりの今年5月に開館したばかりだという新しく復元された図書館へ。
先の紛争で、歴史的価値の高いボスニアの貴重な書物のかなりの数が失われてしまったそう。
次は川沿いを歩いて、暗殺事件のあった現場へ。
折しも、今年は第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件からちょうど100年。
この建物の下でその暗殺事件が起こりました。
暗殺されたオーストリア皇太子はこのラテン橋を渡る予定でした。
4)無料のウォーキングツアーに参加
ちょうど時間も4時半近くになり、サラエボフリーウォーキングツアーの集合場所となっている、橋の近くのツーリストインフォメーションセンターへ。この頃までには、土砂降りだった雨も止み、結構な人数の参加者が集まったので、二つにグループは分かれ、各グループのメンバーはガイドさんについて歩いて行きます。
約1.5時間のウォーキングツアーの最初にガイドさんが、ボスニアの複雑な歴史背景を配慮してのことでしょうか?それとも単に最初の取っ掛かりとしてなのでしょうか?参加者の国籍を聞きます。
まずは、サラエボ事件の暗殺現場から始まり、旧市街エリアを見て回り、その後、新市街エリアへ。
娘もベオグラードに続き2回目のウォーキングツアー参加で、一応ガイドさんの話をちゃんと聞いています。
カトリック教会の大聖堂
サラエボは西欧と東欧の文化が交わる街で、半径100m以内にイスラムのモスク、カトリック教会、セルビア正教会、ユダヤ教のシナゴークの建物が建っていて、これまで何世紀もの間、4つの異なる宗教が共存してきました。
巨大チェスで真剣に勝負するおじいさんたち。
こんなほのぼのとした風景のサラエボに紛争が起こったのは、まだつい最近の90年代のこと。そんな時期に日本では、バブル経済で浮かれた人々がいた頃です。
この電光掲示板には、不正政治取引が行われた回数が表示されているとのこと。
国立劇場。U2のボノも来たサラエヴォ映画祭の会場。
翌週から映画祭が開催されるということで、準備が着々と進められていました。街中に映画祭ののぼりがたくさんありました。
サラエヴォ郵便局。 |
2012年に完成したばかりの現代アート風な変わった橋。 |
紛争時に多くのジャーナリストが滞在していたホテル、ホリデーインがあったり。
ウォーキングツアーの最後は、紛争時に亡くなった子どもの記念碑。子どもを守る母親のガラスの像だそうです。その周囲には子どもの足跡。
石碑には紛争で亡くなった子どもたちの名前が多数刻まれていたのですが、同じ子どもを持つ親として胸が張り裂けそうな思いでした。
写真はありませんが、その他にも紛争の爪痕を残す建物やモニュメントを見て回りました。まだつい最近の90年代に起こったでき事だというのが本当に信じられない。
どこか人ごとのように聞いていた話も、実際にかの地を訪れ、その悲惨な経験を体験者に聞いたことで、改めてどれだけ自分が平和な環境に生まれ育ってきたのか、そして平和な時代に子どもを育てることができる、そのありがたみが身にしみました。
この無料のウォーキングツアー(途中で抜けても平気)は、ほどよい長さで子連れにもおススメです。
このツアーに参加したことで、ざっくりとでしたがこのサラエボで実際に起きたことや現在の状況を知ることができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。
ヨーロッパ内で初めてトラムの終日営業が始まったのはサラエボなんだそう。 |
そんなちょっとしんみりとした気分になったウォーキングツアーの帰りに、なくしたフクロウさんの代わりが欲しいという娘。
ダディが『また買ってあげるから。。』といったのをよーく覚えていて、仕方なくおもちゃやに行くと、ぬいぐるみではなく今度はバービー人形が欲しいという。
いつもこれと決めたら決断がめちゃめちゃ早い娘。。。
他のバービーに比べて箱もひときわ大きい。。。
「もう一つ持ってるじゃん」と他のお値段が安めの小さな箱に入ったバービーをやんわりと勧めても、娘の意思は変わらず堅い。
5)サラエボ一番の絶景!ホテルの屋上にあるテラスカフェ
予定外の買い物をさせられたその後、ツアー中にガイドさんが教えてくれた「知る人ぞ知る絶景スポット」のと言われる Hotel Hecco Deluxeの屋上にあるテラスカフェに。エレベーターで建物の屋上にあるカフェへ直行。
360度ぐるりとあるテラスからサラエボ市内がよく見渡せます。
雨上がりで緑が一段と濃く見える山に囲まれた街の眺めが本当に素晴らしい。
ホテルの屋上にあるカフェだからか地元の人もそんなに居らず、観光客にもあまり知られていない知る人ぞ知るスポットらしく、落ち着いた雰囲気でサラエボのパノラマ風景を眺めながらティータイム。
お部屋の方もそこまで高くないので、1泊してみてもいいかも!
その後、夜は旧市街エリアで地元の料理が食べられそうなレストランへ。
昼間に食べたソーセージから今度は丸く平べったいハンバーグ状のチェヴァプチを注文。
店の雰囲気やサービス、そして味も濃いめで食べ物もいまいち。
まだ早めの時間だからなのか、お客さんがいなくてガラガラでした。
今回頼んだのはハンバーグバージョン
つくづくお昼に食べたチェヴァプチは大当たりでした。
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