2018年11月1日木曜日

【子連れでジョージアの旅】ワイン発祥の地、カヘティ地方の街、テラビへ

アゼルバイジャンの古都、シャキの宿で朝食を食べ終え部屋で荷物をまとめていると、外から話し声が聞こえてきました。部屋から外をみると中年の東洋人グループ5名が、宿のおじさんに部屋を案内してもらっているところでした。
宿の朝食:ハーブ類やチーズをクレープのような薄い生地に巻いて食べる。



話している言葉に聞き耳を立てていると、どうやら中国語のようだったので、中国人と分かると中国語を使いたがるダディーが、中国語でこのグループに話しかけてみました(笑)。
グループの中には、ダディがイギリス人とわかると、同じく英語を話したがりのおじさんがいたので(笑)、しばらく二人の間で何やら話が盛り上がってました。
中国東北部から来たらしく、わが家と旅のルートは大体一緒でしたが、ここシャキには二泊するということでした。

そんなこんなで10時には宿を出発するはずが、少々遅れて11時近くに宿のおじさんのまだ新車らしき、ヨーロッパでは見かけたことがない四角い感じのロシア車に乗って、アゼルバイジャンとジョージアの国境の街バラカンまで出発。

グラデーションに見える山間

緑の山並みが続く風景を見ながら、およそ2時間弱くらいでアゼルバイジャンのイミグレーションへと到着。おじさんも車を降りて一緒に川の上の橋を渡るとジョージア側に入国です。

イミグレーションの建物を出るとすぐに、おじさんは誰かに携帯で連絡し、10分くらい待つとジョージア側のタクシーの運転手が現れました。
おじさんは運転手にお金を手渡すと、またイミグレーションの建物の中へと帰って行きました。

無事にジョージアに入国したわが家。今度はジョージア側のオンボロのタクシー(ロシア車)に乗り換えます。走り出すや否や、運転手さんは「ガソリンを入れる」と言います。
もちろん、ガソリンスタンドに行くのだろうと思っていたら、国境付近の幹線道路から外れた裏道にある集落に入り、とある住居の庭先に車を駐車しました。

「ガソリン入れるんじゃないの??」と思っていると、そこはどうやら運転手さんのご自宅だったよう。運転手さんの車が家に戻ってきたのが分かると、5歳くらいの女の子と奥さんらしき人、そしてお婆さんが近寄ってきました。
ますます「へっ? ガソリンは??」。と思っていたら、どうやら自宅でガソリンを入れる模様...。

運転手さんが納屋から持ってきた白いポリタンクから車にガソリンを注入している最中、娘が「トイレに行きたい...」と言いはじめたので、みんなで車を降り、「トイレを借りてもいいですか?」というと、「もちろん、いいよ。いいよー。」と庭先にあるトタン屋根のトイレを案内してくれました。
結局、わが家全員トイレを借りて、タクシー運転手さんのご自宅の庭先は、ママとダディ、そして国籍の異なる子どもが二人いることで、一気に和やかなムードに。

運転手さんがガソリンを入れ終わり再び車に乗り込む頃には、奥さんが娘にと、この地方でしか獲れないというプルーン?らしきフルーツのピューレをシート状に乾燥させたものと、この後トビリシのあらゆる所で見かけることになる、ジョージアの伝統菓子チュルチヘラ(中にナッツが入ったキャンドル状にフルーツを乾燥させたもの)を「私の手作りでオーガニックなのよ」と言って、プレゼントしてくれました。


チュルチヘラ

運転手さんの自宅がある国境沿いの街、ラゴデギ(おそらく)から今日の目的地、テラビへ。ここからはさらに約2時間弱の道のりです。
まだお昼を食べていない娘は、車中でこのチュルヘラを一気に平らげました。
娘が全部食べてしまう前にちょっとだけ味見できましたが、中のナッツが香ばしく周りは柔らかくほんのり甘くて優しい味。シート状の乾燥させたフルーツピューレは、酸味が強く、一度にそうたくさんは食べられるものではありませんでした。

ところで、テラビという街は、ジョージア南東部のワイン発祥の地と呼ばれるカケティ地方の中核にある街で、今でも昔ながらの方法でワインを醸造するワイナリーがたくさんあるのだそう。車から見える風景も山脈を右にして、左側には若葉の緑が鮮やかなブドウ畑が続きます。また途中途中でワイナリーの方角を示す道路標識もたくさん見えました。


何度か川を渡った頃、わが家を乗せたタクシーはテラビの街に入り、今回のタクシーの運転手さんも親切で、車一台しか通れない細い道を通って、ちゃんと宿の前まで送り届けてくれました。

テラビの宿は、一軒家の2階を旅行者に開放している二世帯住宅のような建物で、英語はカタコトだけどとても親切なおばあちゃんが何かとお世話をしてくれました。
色とりどりの花が咲き乱れる庭ではニワトリが飼われ、軒下には大きな豚の肉が干してありました。グルジアの地方生活が垣間見れたようでした。

今日はまだお昼を食べていなかったけど、娘はジョージアの伝統スナック、チュルチヘラを食べたし、ママとダディは車で移動する以外何もしていないので、お腹もあまり減らず。

チェックインの際、今日はここテラビで1泊して、明日は観光名所を車で周りながらトビリシの街へ行きたいので、タクシーを手配してほしいとおばあさんに伝えると、おばあさんはどこかに連絡をしてくれ、夜にタクシーの運転手が直接話を聞きに宿までわざわざ来てくれるとのことになりました。

「タクシーを1日チャーターすると、大体いくらくらいかなぁ」とお婆さんに聞くと、「うーん、多分だけど170−200(グルジアラリ)ぐらいじゃないかしら?」とのことだったので、調べてた額よりも大分高かったけど、この数年で物価が上がってる可能性もあるし、1日チャーターで60ポンドくらいなら、「まぁいいよね」となった。

テラビは、カケティ地方の中心の街といってもとても小さいので、見所はそうたくさんあるわけでもなく。時間も時間だったので、おばあさんが教えてくれた古い町並みの残るエリアをぶらぶらし、今度は逆の方へ歩いてテラビで一番景色が綺麗な丘へ。
おばあさんの手書きの地図を頼りに公園の中を歩いていくと、パッと視界が開けて、テラビの街を一望できる丘に出ました。

伝統的なレンガ作りの建物が続く通り

公園の中の丘のてっぺん


ちょっとした公園になっており地元の人々も子連れでやってくるようでした。
開放感に溢れる丘の上をひとしきり走り回った後、噴水の周りをぐるぐる周って遊んでいた娘。その後をまだよちよち歩きの子が付いてきました。
娘がその子の相手をしてあげていると、その小さな子の後をついて歩くお父さんが、娘に「どこからきたの?」などと話しかけたようで、それをきっかけに大人同士も話すきっかけに。

英語が堪能な地元在住ジョージア人のそのお父さんと、子どもは何歳?などの基本的な内容から、娘がイギリスと日本のミックスということで言語の話になった後、数年前にトビリシから家族でテラビに引越してきたとのことだったので、「テラビでの生活はどう?」と質問すると、「景色が綺麗で自然が豊かなテラビは、すごくいいところだよ。トビリシのような大都会の生活にはちょっと疲れたんだよね。」と。

子どもができて、きっとライフスタイルに対する考え方が変わったんでしょうね。子どもを持つ親という共通事項を通して、国を超えて色んな会話が生まれるのは子連れ旅行の醍醐味。どこの国でも子どもを思う気持ちは一緒です。

そろそろ帰るという、その親子と別れた後、わが家は要塞を見に行ってみましたが、残念ながら時間が少し遅かったのか閉まってました。。。
その後、おばあさんの地図にあるテラビで一番古い大木とやらを見て、その裏手にあるレストランRestaurant by Plan Treeへ。テラスからの眺めがいいって事だったけど、肌寒くなってきたので店内に入りました。

テラビの観光名所となっている樹齢900年以上の大木。


テラビの中心部

18時少し前で、まだ早めの時間だったせいか、店内のテーブルには高校生らしき年齢の女子四人がいるだけでした。ひとしきり食べて飲んで喋った後、帰って行きました。
わが家は、ここでジョージア名物のチーズパン、ハチャプリという、娘に言わせるとチーズしか乗ってないピザとヒンカリというジョージアの餃子/小籠包、そしてサラダと地元のワインを頼みましたが、そのワインの安さにビックリ!!!
英語のメニューをくれたけど、グルジア語はミャンマーの文字みたいに全く読めないし、見ても分からない。。。
グルジアワインのボトルがレストラン価格で1本25ー50ラリ。
1グルジアラリ=45円くらい(2018年)

本日の宿も広い邸宅を貸切り状態。
夜、お婆さんがタクシーに電話をしてくれて、デイビッドと言う英語が堪能な運転手のおじさんがやって来た。

テラヴィから、シグナギ、ダヴィド・ガレジ 修道院、トビリシの街というルートをとりたかったわが家。
デイビッドは、宿のラウンジにあるテーブルの上に地図を広げて、我が家がリクエストする行きたい場所を指で追っていく。

そして、ここから値段の交渉に入っていくのだけど、デイビッドの交渉の仕方が、ちょっといやらしい感じだった。

まずは、地図を前に
デイビッド;「これだけのルートを周ったらいくら払う?」
ママは、ブログ等で見た価格を直球で

ママ:『100リラくらい?』と言ってみる。
デイビッド:鼻で笑いながら『冗談でしょ!一日車で走るんだよ?』

ダディ:『そうだよね、そりゃそうだよね。』と、懐柔しようと合いの手を入れる。

デイビッド:「距離でいうとXXXキロ。時間でいうと最低でも6時間は走らないといけないんだよ?」

なのでダディが再びお婆さんに聞いた額
ダディ:『じゃぁ200くらい?』
デイビッド「うーん、そうだなぁ」

ダディ:『じゃあ、一体いくらなの?』
デイビッド:「250」
我が家:『えっ?』
デイビッド:「いや200で。君たちならディスカウントしてあげる。
200でいいよ!」
「僕は英語が話せる。ちゃんと最後まで送り届けるし、決して悪い気分にはさせないよ!」
と、自信満々。200(リラ)ならお婆さんの想定額内だしいいか。と言う気分になり

ダディ:「200リラ?」
デイビッド:「いやいやー、またご冗談を。リラじゃないよ、ドルだよ、ドル!200USドル!(大体140ポンドくらいか)」

唖然とする我が家...。
ちなみに1グルジアラリ=45円 、1 GEL = 0.28 GBPくらい(2018年)

わが家としては、ガイド等は一切必要なく、オンボロタクシーでも目的地に行ければいいだけ。車を1日チャーターしたいだけだったのだけど、デイビッドが提示して来た額は、予想外のアメリカドル建ての超ツーリスト価格。

ダディ:『200USDはボクたちには高すぎて払えない。わざわざご来てくれて、本当にどうもありがとう。』
と言って席を立ち、交渉決裂となったことを示すと、それまで、にこやかな顔をしていたデイビッドの顔は、言うまでもなく急に引きつり、それもでの声のトーンを無理やり保ち平静を装いつつも宿を出て行った。

ママが、「明日、適当にタクシーを捕まえて交渉しようか?」と言うと、ダディは「車での移動が続いて腰が痛いから、また 一日中車に乗って移動するのはもう嫌だ!」と言い始め、ジョージアの見どころ3箇所を見ずに、明日は大人しく公共のバスに乗りトビリシまで直行することにしました。せっかくここまで来たのに。。。

この何とも言えない後味の悪い交渉に、超がつくほど楽観的なダディが言うには、
「あのデイビッドは、ツーリスト向けの行き届いたサービスを提供するドライバーであって、わが家が満足するレベル以上のものだった(だから高額)と言うだけの話。我が家の求めているものと合致しなかっただけの話。」と。

果たして、デイビッドの運転が本当に200USDを払うに値すべきものだったかどうか?は、今となってはわからないけれど、きっと顔が引きつって帰って行ったから、デイビッドも値段ふっかけてたんだろうな。恐らく、おばあさんが言うように、200ラリがまあ妥当な交渉額だったんだろうに。
第一、200ドルと言う価格で自信があれば、最初からあんな交渉の仕方してないだろうしね。。。

でもこれって、ある意味よく聞くタクシー詐欺の手だよね...。

取りあえずママは、ダディの言葉に妙に納得。「まぁ、そんなもんか」とベッドに入ると目を閉じました。

***子連れ旅情報***
テラビ(ジョージア)
街の子連れに優しい度 ★★
公園や要塞などは子連れで歩くには最適です。幹線道路は車の往来が激しく注意が必要ですが、歩道があります。道すがら、通りすがりの地元の知らない子が自分の手に持った袋に入ったお菓子を娘に分けてくれました。

バス料金:子どもは多分無料
子連れアクティビティ充実度:★★
子ども向けアクティビティは見かけてません。

子連れ食べ物充実度:★★★
ジョージアの食べ物は、子供でも食べやすいかも。ピザのような食べ物とかパン類は普通に食べられると思います。チーズは味に癖のあるヤギのチーズのことがあるので、注意。ヒンカリ(ジョージアの餃子)は、微妙に唐辛子が入っているので、小さい子には難しいかも。うちの子には平気な辛さだったようです。

赤ちゃん用品の充実度(手に入れやすさ):★★
スーパー等で手に入ると思います。


宿泊:TLT Guest House

宿の子連れに優しい度 ★★★
おばあちゃんがとにかく親切で優しい。広い一軒家の2階部分で独立した入口(階段)があります。部屋は4部屋。バスルーム共同。WIFIバッチリ。共同の簡易キッチンや古ーいピアノもあり。
朝食は1階のおばあちゃんの住居のダイニングテーブルで食べます(おじいちゃんと娘さんもいた)。娘だけ先に朝食を食べに行かせたら、おばあちゃんが娘の名前を呼んで色々面倒見てくれていました。こう言うのは本当に助かります。ホームステイって感じで楽しかったです。
田舎のホームステイは、手作りの朝食がついているにも関わらず値段が格安で、その宿のオーナーの温かいおもてなしが受けられます。

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