朝起きた頃には、昨夜の頭痛は何だったのかと思うほどまで治っていました。
出発は朝の8時半。(目標)
ユルトの朝食は、ミルクがゆとチャイ(お茶)と全く食欲をそそらないメニュー(笑)
結局9時少し前に出発!
今日は、いよいよキルギスタンの国境を越え、タジキスタンに入ります。本日の最終目的地は、パミールハイウェイの東の起点の街、タジキスタン東部最大の街ムルガブです。
昨日はマークが助手席に座ったので、今日はダディの番。
それにしても高山病の症状である頭痛は治ったものの、今度は指先に痺れを感じます。 今日はパミールハイウェイでも最高地点を通過するのですが、大丈夫かなぁ…。
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子連れでパミールハイウェイの旅 (2日目)
本日の旅程:
- タルパーコル湖ーサリーモグルーサリータッシュ:1.5 時間
- サリータッシュームルガブ:6時間(詳細↓)
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タルパーコル湖ーサリーモグルーサリータッシュ
昨日通った道を戻り、ユルトキャンプから1時間ほどのサリーモグルへ。この道は4WDのジープじゃないと絶対無理。そもそも道と言う道はないし…。
乗っている方も左右にかなり揺れるので、しっかり掴まってないと大変。
揺れまくる車内。ミラー下の飾りの振り幅に注目。 |
サリーモグルでガソリンを入れようと思ったら、何とガソリンが売り切れでした…。
さらに30分ほど走り、サリータッシュのガソリンスタンドでガソリンを入れました。ついでにキルギスタン最後の「街」でしばらく飲めないであろうコーヒーを飲むためにカフェへ。
サリータッシュの集落は、中国の新羅へ抜ける道への分岐点でもあり、物資を運ぶ大型トラックの往来が多く、小さな村ながらもお客が良く入るのでしょう。
適当に入ったCafe Akun は、サービスが良く、とても感じのいいお店でした。
ここで充電切れしそうだった携帯を少しの間だけ充電できました。が、スタートが大分遅れ、この時すでに11時半。ムルガブ到着は何時に?!
サリタッシューボルドボ国境
サリタッシュからキルギスのイミグレーションまでは車で30分ほどで到着しましたが、なぜか国境事務所前で意味もなく長時間待たされると言う理不尽さ…。我が家のようなパミールハイウェイを回る旅行客を乗せた車が次々と到着し、4−5台くらいが駐停車。
あまりにも待たされるので、皆んな車を降りてしばし談笑…。
ドライバー同士も何やら話してヒマ潰し。
その中には、日本人らしきカップルと西欧人カップルの四人組もいました。話しかけてみたら、日本人でした!
何の説明もなく2時間くらい待たされて、ようやくキルギスタンを出国。
キルギスタンのイミグレーションで出国してからタジキスタンのイミグレーションまでの距離がまた長い!
ボルドボ国境(キルギス)ーキジルアート峠
キルギスを出国して30分くらい走ったところで、再びキルギス側のチェックポイントがありましたが、ツーリストと言うことでスルー。
その後、すぐにタジキスタンの国境線にあるキジルアート峠(4282メートル地点)に差し掛かります。
記念撮影をする人々。旅YouTuberみたいな人もいました。 |
そこからまたしばらく国境の事務所が見えてくるまで未舗装の道を走りました。
このどちらの国でもない国境エリアにポツンと建物があって生活してる人がいる不思議…。
キジルアート国境(タジキスタン)ーカラクル
タジキスタン側の入国審査は、一人づつ事務所に入ってパスポートにスタンプを押してもらいます。一人でパスポートを持って部屋に入った娘。事務所から出てきた娘に「大丈夫だった?何か聞かれた?」と聞くと、「うーん、何も聞かれなかったよ。ウェルカムって言われただけー。」と。
ママが事務所に入ると、入国審査管は手書きでノートにパスポート番号と名前を控えるという21世紀だとは思えないローテクぶり。「韓国人か?」と聞かれ、「日本人です」と答えるとパスポートにスタンプを押してくれました。
ダディは「マンチェスター?(サッカー)」と聞かれ、マークは、スペインのパスポートを見せているのにも関わらず「フランス人か?」と聞かれ「違う」と答えると「韓国人か?」と聞かれたと言うオチ付き。(笑)
どう考えても韓国人には見えないんですけど…。
毎日そんなに人は通らないし、ここの入国審査担当者は相当ヒマなんだろうなぁ…。
岩だらけの茶色い世界で、周囲に何にもない完全に世間から隔離されたこんな場所で働かないといけないなんてヘコみそうだ…。
タジキスタンに無事入国すると、またすぐにパミール高原のエントリーチェックポイントがありましたが、運転手さんがパスポートを持って車を降りて手続きしてくれました。
さらに荒涼とした大地を走りつづけること1時間ちょっと。
パミール高原で最大の湖、カラクル湖が見えてきた!
15時すぎに湖畔の街につき、オッシュを出る時に購入したスイカを二玉両脇に抱えた運転手が経営すると言うゲストハウスに連れて行かれると、かなり遅めのランチで我が家四人分ともう一台の車、日本人とイギリス人グループ四人分、合計八人分の席がテーブルに用意されていました。
ランチを食べながら、改めてもう1台の車のグループと話をしてみると、イギリス人カップルはロンドンからきていることが発覚。
日本人女性の方はお腹の調子が悪いと言うので、症状を聞いてみたら何となく高山病の症状の様子。手持ちの高山病の薬を分けてあげることにしました。
また、ここでスウェーデンから来たヒッチハイクでパミールハイウェイを旅するカップルに遭遇。ここからムルガブまで、我が家の車に女子の方、日英グループの車には男子の方を乗せてあげることにしました。
カラクルームルガブへ
4時近くになって1名増えた合計5名でムルガブへと出発。この辺りまできたら、いつも聞いているipodの充電がとうとう切れてしまい、車中でヒマになった娘。
Eye spy with my little eye, something beginning with.....のゲームを始めると同じくヒマな同乗者の大人全員がこのゲームに参加。
車の中から目に飛び込んでくる景色は、遠くに見える山頂に白い雪が積もる山以外、砂埃が舞う荒涼とした大地だけ。というかなり限られた状況にも関わらず、あまりにもヒマすぎる車中では、この単純なゲームでかなり盛り上がることができました。
が、やはり何のオブジェクトも見えないこの環境では、ネタが尽きるのも早く。
娘の「Sで始まるもの」というお題に、皆んな出尽くした答えに困り果てて「うーむ」とうなっていると…。
それまでゲームを聞いているだけだったドライバーが、いきなりボソリと「ス、ストロベリー?」と、いささか自信なさげにいきなり乱入。
「へ?! どこ?!この何もないタジキスタンの風景のどこにストロベリーが?」と、一同「???」となってると、運転手はダッシュボードにある小さなキャンディーの箱が「ストロベリー」だと主張。
よーく見てみると、そのキャンディー「イチゴ味」で小さくいちごの絵が書いてありました…。
皆んな大爆笑。
ちなみに、娘の「S」から始まる名前のものの答えは「スピードメーター」だったのですが、運転しながらもちゃんと聞いてたんだ!運転手さん、いいヤツじゃん!! と同乗者一同が感心した瞬間でした。
引き続き、何もない荒涼とした大地をムルガブに向けてひた走るパジェロ。
とうとうネタもすっかり尽き果て皆んな無言になり始めた頃、突然ハンドルを握る運転手がキョロキョロ後ろを振り返る。
「何だろう?」とママも後ろを見てみると、外に白い煙がもくもくと見えると同時にゴムが焼けるような臭いが漂ってきた!
運転手は、直ぐに車を停めて車外に出ると車の後部あたりをチェック。運転席に戻って来たが、何やら険しい顔をしている…。
「ひょっとして…パンクした?!」と車内の誰かが口を開くと、運転手はまるでよくある出来事であるかのように、「道が悪いからねぇ…」といたって冷静。
見事にペシャンコになったタイヤ。
テキパキとタイヤの交換にかかる運転手。
同乗者全員も車を降りて、やや不安な気持ちを押さえつつ運転手を見守る。
替えのタイヤは積んであるので、潰れたタイヤと交換するだけ。その間、数台の車が通りかかり「大丈夫か?」と手を貸そうとしてくれる。
土埃だらけの地面に仰向けに寝転び車体の下に潜り、ジャッキで車体を持ち上げ、潰れたタイヤを外す運転手。さすが手慣れた様子。
いざ替えのタイヤをはめようとしてみたら…「X△◯!」と何語か分からない言葉を吐く運転手。
だけど、こういう時の言葉はなんとなく意味がわかる。
「今,shit!(くそっ)」ってキルギス語で言ったのかな?」と、ヒッチハイカー女子とヒソヒソ話しながら見ていると、
あれれれ、タイヤがはまらない…。
ジャッキで持ち上げた車体自体はタイヤをはめるのに十分な高さになっているものの、地面自体がが平坦ではないため、後ちょっとというところで、替えのタイヤがはまらないという状況。
ジャッキに加えてさらに高さを出すために、ジャッキの下に敷く大きめでフラットな石をみんなで探しますが、小石はごろごろとあるものの(もしくは巨大な岩ならある)、この荒野では手頃なサイズの大きな石がなかなか見つからない。。。
マークが、どこで見つけたのか、いい感じの大きさの石を探し出してきて、ジャッキの下にその石をはめて少し高さを出してみたものの、それでもまだタイヤがはまらない…。
高度3500メートル前後(ひょっとしたら4000メートル超えてたのかも)の地点で、太陽が徐々に傾き始め、ちょっと寒くなってきた。
このまま日が暮れてしまったら…これは非常にまずい展開…。
凍えるような寒さの真っ暗闇の中で一晩過ごすハメになるかも。。。
こんな僻地でも、観光シーズンのためか1時間に数台の車が通る。
次に通りかかった車に大きめのジャッキがあるかと助けをお求めたら、今あるジャッキと同じサイズだったのでNG。
あきらめて、また次に通りかかった車に尋ねると…幸運なことに、あった!!大きめジャッキが!!
おまけに、その車の運転手とガイドの男性二人も手伝ってくれて、やっと無事にタイヤを交換することができたのでした。
「よかった、良かった!」と、再度、みんな車に乗り込みムルガブの街へと出発。
パミールハイウェイの最高地点アク・バイタル峠(4,655m)を通り、運転手が(写真撮るのに)「車止めようか?」と聞いてくれましたが、みんな「大丈夫(先を急ごう)!」と
その後は、タイヤのパンクでロスした時間を取り戻すかのように車を走らせました。
ムルガブの街に入り、あらかじめ予約していた街で一番大きなホテル、「パミールホテル」に到着した時はもう7時過ぎ。空が茜色に染まり、気温も下がり始めて外が暗くなり始めた時間でした。
ここで2日間お世話になったドライバーさんとはお別れ。ヒッチハイカー女子は、先に到着していた彼氏に無事合流。
別れ際、ダディがドライバーさんにチップを渡す際に「これで新しいタイヤを買う足しにしてね」というと「いや、タイヤは僕の車のことだから…」と遠慮していたけど、「無事に運転してくれて本当にありがとう。取っておいて。」というと「…ありがとう」と、最後までとても謙虚な態度。
とてもいいドライバーさんだったから、別れるのが名残惜しい…。
旅は一期一会だ…。
出発前にメールでやりとりしていたパミールホテルの人は、レセプションで働いていました。ちょっと調子いい感じもしましたが、仕事はきっちり。こちらの要望にはきちんと応えてくれています。実は、旅行会社の経営が本業でホテルのレセプション業も手伝っているんだそう。
明日からホログまでの3日間、ドライバーの手配をお願いしてるので、部屋代は少しおまけしてくれたようです。
またパミールハイウェイの一つしかない地図を「ドライバーに返却してね」と言いながら貸してくれました。
明日は「Old Manだ」というドライバーが8時半に迎えに来るとのこと。
部屋はバス・トイレ付きの部屋となしの部屋を用意してくれていて、ママと娘はバストイレ付きの部屋へ、ダディとマークはなしの部屋へ。
夕食は羊肉の煮込み料理でした。 |
ホテル内の食堂で夕食を食べたらもう夜の9時。
ちなみに、ムルガブを中心とする東パミールはタジキスタンの中でも一番貧しくインフラが安定していない地域で、ホテル内に一応あるWifiですが、ほとんど繋がりませんでした。
まぁ茶色い土肌の土地の厳しい環境で農作物も育たないだろうし仕方がない。
なので、ネットにも繋げないので、あとそう、タジキスタンに入り時差が1時間あり、昨日より1時間早起きしないとなので、明日に備えてすぐに寝ました。
高山病なのかまだ指先に痺れがあるのとお腹に膨張感があり。あと手と唇がやたらガサガサします。明日から高度はどんどん下がって行きますが、どんな旅になるのやら。
そして、Old Manと呼ばれるドライバーさんがどんな人なのか楽しみです。
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