2019年11月7日木曜日

【子連れ旅・準備編】人生で一度は行ってみたい絶景!秘境タジキスタン・パミールハイウェイ7日間の旅


国土のほとんどが山岳地帯、そしてその半数以上が標高3000メートルを超える秘境タジキスタン。富士山の高さが3776メートルと聞けば、どれだけ標高の高いエリアなのか想像が付くと思います。

今回わが家が旅するのは、そのタジキスタンにある世界的に有名な絶景エリアで「世界の屋根」と呼ばれる「パミール高原」そして最高高度4655メートル地点を通る「パミール・ハイウェイ」。
これまでの旅の中でもかなりハードな旅になりそう…。

長期の休みを利用して子連れで旅する我が家にとって、行き当たりばったりの気ままな旅は日数制限があって難しいので、できる限り時間のロスがないよう、また何か大事があった時のリスク対応のためにも事前に準備できる部分は出来る限り解決しておくようにしました。

そんな「パミールハイウェイ」を子連れで旅するために、せっせと探し集めた情報を記しておきたいと思います。

目次:
  1. タジキスタンの秘境「パミールハイウェイ」
  2. タジキスタンのビザ
  3. パミールハイウェイとワワハーン回廊
  4. オシュ〜ドゥシャンベ?それともドゥシャンベ〜オシュ? 右回りと左回りどちらがいい?
  5. パミールハイウェイの見どころ
  6. パミールハイウェイの回り方
  7. パミールハイウェイライドシェアー
  8. パミールハイウェイの費用
  9. パミールハイウェイの持ち物

タジキスタン最後の秘境「パミールハイウェイ」

その昔、中国と西欧を結ぶシルクロードの主要ルートの一部だった「パミールハイウェイ」は、パミール高原に位置する中央アジアのキルギスタン、タジキスタン2カ国にまたがり、一部19世紀、主に1930年代にロシアによって建設されました。

目くるめく絶景が続くパミールハイウェイは、タジキスタン東部の平均標高5千メートルもある険しい山間部を貫通する唯一の幹線道路で、パミール高原を越えるルートとして何千年もの間人々が往来してきた道です。そのたくさんの歴史が息づくパミールハイウェイには、世界で2番目に標高が高い地点(4655メートル)があります。
キルギスタンのオシュからタジキスタンのムルガブ、ホログを経由し首都ドゥシャンベまでのおよそ1,250キロの道のり(ロンドンから南仏マルセイユまでの距離と同等)で、世界中のライダーやサイクリストを魅了するルートとしても有名です。

タジキスタンのビザ

タジキスタンを訪れるにはビザが必要(2019年)ですが、インターネットでE-ビザ申請ができます。 (※注意visa.gov.tjというサイトではありません)。
日本人のタジキスタンビザ申請料は50ドル、GBAOパーミット代が20ドル。ビザはシングルエントリーで45日間有効です。
即日発行とありますが、申請してから4営業日かかりました。ピークシーズンや政治状況によっては時間がかかる可能性があるので、時間に余裕を持って申請することをオススメします。
またパミールハイウェイに向かう場合は、GBAOパーミットが必要となります。忘れず一緒に申請しましょう。


「パミールハイウェイ」と「ワハーン回廊」

キルギスタン第二の都市オシュからタジキスタンのムルガブ、ホログを経由し首都ドゥシャンベまでの東と西をつなぐパミールハイウェイは、正確には下記のマップにある赤線の道路を指します。この地を巡る旅行者の多くが目指すルートは、アフガニスタンとの国境沿いの青色の線「ワハーン回廊」と呼ばれるムルガブからホログまでのルートです。
またドゥシャンベまでは、途中に全長4.5キロのめっちゃ長いトンネルがあり道路のコンディションが良い「クロボ経由」=ピンク色のルートを通るのが一般的なようです。


オシュ〜ドゥシャンベ?それともドゥシャンベ〜オシュ?
右回りと左回りどちらがいい?

パミールハイウェイを周る大多数がキルギスタンのオシュかタジキスタンのドゥシャンベのいずれかの都市を出発地にすると思いますが、このルートを考える上で迷うのが「どちらの都市を起点とするか?」。

ドゥシャンベとオシュのどちらの都市も国際線の飛行機が飛んでいるし、いずれも中央アジアの他の国や都市に抜けるには便利な場所なので、どちらの都市から出発するか?は、「旅のスケジュールによって」になると思います。
ただし高山病が心配な人は、左回りにドゥシャンベを起点にしてオシュへ抜けた方が良さそうです。というのも下記の主要都市の高度を見てわかるように、左周りの方が高度が徐々に上がっていくために体が高度に順応しやすいのです。
 
右回りのオシュを起点にドゥシャンベへと抜ける場合は、オシュからムルガブに行く途中で1〜2泊して体を高度に慣らしながら徐々に移動する方が安心です。


パミール高原主要地点の標高

  • オシュ 963m 
  • サリーモゴル 3,200 m
  • タルパーコル湖 3,500 m 
  • カラクル湖 3,923 m 
  • パミール・ハイウェイの最高地点 4,655m 
  • ムルガブ 3,600m 
  • アリチュール 3,991m 
  • ランガール 2,810 m
  • イシコシム 2,457m 
  • ホログ 2,070m 
  • カラカイム 1,200m 
  • ドゥシャンベ 706m

「パミールハイウェイ」の見どころ

見どころは何と言ってもその想像を絶する素晴らしい景色。その抜けるような青空は、高度が高いので雲が手に届くように近く感じられます。またパミールハイウェイ沿いにあるいくつかの湖はどこも水の透明度が高く、荒涼とした大地の湖の表面に真っ青な空にぽっかりと浮かんだ白い雲が鏡のようにくっきりと映る風景が見れます。

我が家が巡った右回りルートは、ムルガブからホログに向かい高度がだんだん下がり始めると緑鮮やかな田畑が現れ始め、人々の営む様子だったり、天然温泉や要塞、パミール地域の博物館などが見られるようになります。
またアフガニスタンとの国境を沿う様にあるワハーン廻廊からは、川を隔てた向う岸にアフガニスタンの人々が暮らす様子が垣間見えます。

訪れる先々での地元の人々との触れ合いや、時期を同じく旅する他のグループの旅行者たちとの交流などもパミールハイウェイの思い出に彩りを添えます。

「パミールハイウェイ」の回り方

パミール・ハイウェイを効率よく周るためには、車とドライバーをハイヤーする必要があります。そこにガソリン代やドライバーの宿泊経費などのコストがかかってくるので、一人で車一台をハイヤーするにはそれ相当な金額になります。

パミールハイウェイは最短3日位で回れるそうですが、これだと恐らく朝から夜遅くまで車にずっと乗りっぱなしの状態だと思います。日の長い夏場はともかく、宿に到着した時はもう真っ暗なんてこともあるでしょう。
毎日1泊するだけの移動続きに標高の高い場所やかなりの悪路を毎日長時間走り続けるのは、ただ車内に座って移動しているだけにも関わらず、かなり体力を消耗します。
車を停めてその雄大な景色を見たり、滞在先を散策したりする時間を入れても最低で5日間くらいは欲しいところ。
子連れの我が家は、オシュからドゥシャンベまで7日間の旅程でしたが、夏の暑さや移動の疲れもあり後半はかなりぐったりだったので、ホログで連泊してゆっくり身体を休めることができたら良かったなと思います。よって7〜8日くらいがベストかな。

「パミール・ハイウェイ」ライドシェアーのススメ

パミールハイウェイの旅では、同乗者を見つけて車のハイヤー代をシェアーする「ライドシェアー」が一般的です。同乗者探しには、Caravanisitanというサイトのフォーラムが有名ですが、夏場、特に7月から8月にかけてのピークシーズンは、コミュニケーションさえ上手く取る事ができれば、オシュやドゥシャンベのホステル等でも比較的簡単にシェアーメイトが見つかると思います。他にはVisit allayのサイトでもツアーメイト募集が出ていますし、オシュ起点の場合は、到着後に有名なゲストハウス「オシュ・ゲストハウス」内でシェアメイトを見つけたという人が多かったです。

パミールハイウェイの費用

ピークシーズンの8月にオシュからドゥシャンベまで通しで車をチャーターした場合の料金相場は、車1台とドライバーにつき7日間で最低1,000ドルくらいから。

1台には大体3人から多くて6人まで乗れるので、同乗者が多ければ(窮屈ですが)一人当たりの車代のコストも安くなると言った計算です。
ママは、Indy guideというサイトで、7日間900ドルで請け負ってくれるフリーランスのドライバーを見つけましたが、短い区間だけ(例えばムルガブからホログだけ)だとあまり歓迎されないようでした。
他にも色々と見積もりを取ったところ、
1)オシュ〜ムルガブ(タルパーコル湖経由)
2)ムルガブ〜ホログ
3)ホログ〜ドゥシャンベ
のそれぞれ3区間で車を別途ハイヤーすることで、合計900ドル以内で予約手配できました。
このように3旅程に分けることで、ドライバーの帰路の走行距離分が短くなりまたドライバーの宿泊費の2日分が浮くことで、若干ながら安くなるのだと思います。現地でハイヤーすることでさらにコストを下げることも可能だと思いますが、予定が決まっている我が家にはちょっとリスキー。


パミールハイウェイ7日間の車チャーター代(+宿代)内訳

・オシュームルガブ(1泊2日) 
サリーモグル経由、ピークレニンを望むTulpar-Ku湖沿いでゲル宿泊。
ムルガブで宿泊
予約先サリーモグルのCBT
車料金:250$
中堅どころのドライバーさんで、普段は板金工だというお兄さん。とてもいい人でした。
宿泊:ゲル (1泊2食付)一人20$(子ども半額)

・ムルガブからホログ(2泊3日)
ランガール、イシコシム、ホログで宿泊
予約先:ムルガブのパミールホテル
車料金:370$
ちょっと年配(?)のベテランドライバーで、他の車のドライバー達にも頼られていました。人柄もよく各所で顔が効き、とても良くして貰えました。
宿泊:ランガールとイシコシムは飛び込み
パミールホテル(1泊2食付)一人15$(車手配で宿泊ディスカウントしてくれた模様。子ども無料)
ランガールでホームステイ(1泊2食付)一人13$(子ども無料)
イシコシムのゲストハウス(1泊2食付)一人15$(交渉して子ども無料)

※パミールホテルでは余ったキルギスのお金を両替してくれますが、かな〜りレートが悪いので、まとまった額の場合はムルガブのマーケットまで行って両替した方が良いです。

・ホログからドゥシャンベ(1泊2日)
カライカム(ダルヴァズ)で宿泊
予約先ホログのPECTA
車料金:250$
宿泊
ホログの宿(1泊2食付)一人15$(子ども割引なし)
カライカム(ダルヴァズ)の宿(1泊2食付)一人20$(子ども割引なし)
※PECTAを通して予約はあまり融通が効かない感じでイマイチでした。メールで対応してくれた人もあまり感じが良くなかったな。車は新しいランドクルーザーで良かったけど、運転手の態度があまり良くなくイマイチでした…。
車は、宿を通して予約した方がもう少し安く済んだと思います。またPECTAを通して宿も予約してもらったのですが、子どもも大人と同額取られました。
乗って来た運転手に宿へ連れて行ってもらう方が融通がきいていいかも。

その他、昼食代、温泉入浴代、博物館入場料などで少額かかりました。
(子どもはほとんどの場所で無料にしてくれました)

それぞれのエリアごとに区切って車をハイヤーしたことで、道路の状態を熟知する地元出身の運転手がその地域の景勝スポットやオススメの休憩ポイントなんかも案内してくれたので、見所は全て網羅し道に迷ったりすることもなく移動がとてもスムーズでした。とにかくパミールハイウェイはかなり危険で細心のの注意が必要な非常に神経を使う山道を走り抜けるので、ドライバーの精神疲労などの安全面も考慮すると、エリア毎に3人の運転手さんにお願いして良かったと思います。
ただ車に乗車している私たちでさえ、ほとんどが未舗装でかなり悪路のパミールハイウェイは、どっと疲れました。
オシュからドゥシャンベまで同じドライバーを通しで使っていた他のグループは、「ドライバー自身も観光してて写真を撮りまくりだった」とか「エリアをよく分かってないみたいで、行き当たりばったり」とか、色々不満が募っていたようでした(笑)。ドライバーさんの運もあります。

ちなみに、7日間の旅の間に行程が重なっていた旅人の中には、徒歩でパミールハイウェイを移動するというツワモノやヒッチハイクで移動するカップルも(笑)。さすが秘境。旅人もちょっと普通じゃない人が多いかも。

また中央アジア各国の通貨は、各国ともに国外に出てしまうと両替が難しい場合が多いようです。
未使用の通貨は、国境を越える『前』に必ず全額両替しましょう。。。

パミールハイウェイの持ち物

高山病の薬「ダイアモックス」は、オシュの薬局のカウンターで手に入りました。
オシュから時計回りでパミール高原に入ったわが家は、3人とも初日のタルパーコル湖(3500メートル地点)では高山病で頭痛がひどく、その後、高度の高いランガールの辺りまでの数日間は、お腹の膨張感や手の指先にピリピリとした痺れを感じました。初日の夜、あまりにも頭痛がひどかったのでダイアモックスを服用しました。これで多少、高山病の症状が和らぎましたが、朝から服用しておけば良かったです。
またかなり紫外線が強く、手や唇があり得ないほど凄くガサガサになりました。日焼け止めと日焼け止めが入ったリップクリームがあると良いです。気休め程度ですがマシになります。全てオシュの薬局で購入可能です。

ちなみに、このエリアの生活インフラ環境は最悪で衛生状態はよくありません。
手洗いには除菌ジェルやウェットティッシュを使い、歯磨きなどにはボトルの水を使いましょう。
もちろん水洗トイレは存在しません。トイレットペーパーは必須アイテムです。
食べ物、特に夏場は食中毒に気をつけ熱中症対策を万全に。
飲料用、洗面用などのために水のボトルを購入して使用しましょう。
ハイヤーする車種によってはBluetooth対応の場合もあるので、みんなが知ってそうな曲が満載の車内用BGMがあるとベスト!
旅の先々で出会う子どもたちに持参したシールをあげている人もいました。

インターネットはオシュを出るとホログまでほぼ繋がらないので、現地のシムを購入するか、せっかくの機会なのでデジタルデトックスを。
グーグルマップは使えないので、オフラインでも使用可能なMaps Meをダウンロードのこと。
また、特に高度の高い東パミール地方では水は貴重な資源です。特に民家に宿泊(ホームステー)する場合は、地域環境や観光公害にも配慮して過ごしたいものです。

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